米国口腔外科学会によるとビスホスホネート系製剤関連顎骨壊死(BRONJ)の診断基準から、放射線性骨壊死の可能性がなく、ビスホスホネート系製剤投与の既往があり、他の疾患の可能性が低い、長期間に及ぶ露出壊死骨が認められる場合はBRONJを疑うべきである。
しかし、この疾患に対して世界的にコンセンサスの取られた定義や診断基準は作成されていないため、典型的な臨床症状も診断の一助になるものと考えられます。
臨床症状としては、疼痛と感染を伴う持続性の骨露出があり、歯肉の腫脹、排膿、歯の動揺、しびれ、顎が重い感じ等が一般的であると報告されています。
抜歯や歯周治療などを契機に発症することが多く、下顎骨に2/3、上顎骨に1/3の割合で発症するといわれています。
顎骨壊死が進行すると、疼痛や感染が増悪し、外歯瘻や病的骨折を起こすこともあるとされています。
また、米国歯科医師会の報告では、BRONJの一部の症例では、歯・歯周疾患に類似した症状を訴えることがあるが、標準的な歯科治療では反応しないとされています。
また、明らかな局所的誘因がなく、自然発生したかのようにみられるBRONJも存在するが、その多くは過去の抜歯部位で発現していると報告しています。
社団法人日本口腔外科学会:ビスホスホネート系薬剤と顎骨壊死 ~臨床病態と治療ガイドライン 2008~
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