2011年11月29日火曜日

長い接合上皮のプラーク感染に対するバリア機能 【練馬区の審美歯科】

『A long junctional epithelium - A locus minoris resistentiae in plaque infection?』
Magnusson l et al.J Clin Periodontol.1983;10:333-340

実験概要

この実験は長い接合上皮による歯肉ユニットは、通常の長さの接合上皮を伴った歯肉ユニットよりもプラークの感染に対して封鎖効果が低いかどうかを検討するために行われた。

歯頚部にエラスティックリガチャーを挿入する事によって4匹のサルの8本(テスト歯)の歯の周囲で歯周組織の人工的破壊が起こり、楔状欠損が形成された段階で、リガチャーが除去された。
テスト歯の歯周組織に対して歯周外科処置が行われた。
根面の清掃は行われたが、骨の改変は行われなかった。
外科処置後、口腔内全体のプラークコントロール(週2回のラバーカップと研磨剤を用いたクリーニングと0.2%クロルヘキシジンの局所投与)が開始され、4ヶ月間行われた。
実験期間の最後の6ヶ月間は、口腔内清掃が中断されプラークを蓄積させた。
プラーク蓄積の結果としての歯肉の炎症を研究するために、各実験動物から4本のテスト歯と3本のコントロール歯が選ばれ、歯肉縁下へのプラーク形成を促進するために、歯肉溝の入り口部分にコットンリガチャーが設置された。

外科処置後の治癒形態は、長い接合上皮を伴うことが知られているので、テスト歯の長い接合上皮と、コントロール歯の通常の接合上皮におけるプラークの感染に対する防御機能の差が比較された。
外科処置の10ヵ月後に歯周組織ごと歯の組織切片が作られた。

結果

全てのテスト歯は骨欠損しており、骨縁下ポケットが存在していた。
一方、コントロール歯では骨縁下ポケットは認められなかった。
また、コットンリガチャーが設置されたテスト歯とコントロール歯では、0.5~1.2mmの歯肉のリセッションが認められた。
組織学的分析の結果、テスト歯(2.6~3.4mm)は、コントロール歯(1.1~1.9mm)よりも有意に長い接合上皮を有している事が確認された。
プラーク感染の結果としての炎症性細胞の浸潤(ICT)が、通常の接合上皮を有する歯肉ユニットよりも、長い接合上皮有する歯肉ユニットの方がより深くまで入り込んでいるという事はない、という事が明らかになった。

長い接合上皮によるプラーク感染に対するバリア機能は、通常の長さの接合上皮によるバリア機能よりも劣る事はない、という事を示唆している。

考察

長い接合上皮では、プローブを挿入すると深くまで入る事があるかもしれないが、上皮によって防御されているので、炎症の状態に変化はない。
ポケット除去の方がプラークに対して抵抗があるという事について、科学的根拠はない。
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